2016年08月08日

最低時給1500円で介護の世界はなりたつのか

「25歳の単身者が生活するには時給1526円が必要」――全労連のデータが話題、2016年度の最低賃金822円との差は倍近く
2016.8.6
キャリコネ編集部
https://news.careerconnection.jp/?p=26494

 一般産業界でも時給1500円を基準にして、正規・非正規の壁をなくしてしまえば、会社が崩壊するか、失業者があふれると言われている。
 あまり具体的な論考やシュミレーションをみたことは実はなくて、おそらくはそうなるだろうという話として理解をしている。それくらい現実感がないという話なのか。

 ファーストリテイリングが世界同賃金を打ち出したときにそれも非現実的であるといわれた。グローバル経済の中で、先進国ではない労働賃金の安い国に生産を押しつけ、商品の単価をさげるという「ビジネスモデル」が前提であるわけで、そうすると当然これは非現実的であるといわれたわけだ。

 実際に、時給を1500円にしたら、どんな世界が起こるのか。

 介護/福祉/保育の世界は実は制度ビジネスが前提になっているので、それぞれの事業の単価は、国が一定のシュミレーションで決定をしている。その最たるものがヘルパー事業の単価である。
 ヘルパーは一定の時間1対1の「サービス」だから、その単価のうちのかなりのパーセンテージを人件費がしめる。かりに時給を1500円にしてみて、ヘルパー事業がなりたつか。
答えは否である。
あげてみたとすれば、どうなるか。
おそらくは、1対1のサービスであるヘルパー事業はなりたたなくなるのではないか。
それが業界的な一般的な感覚だろうね。

ヘルパーの人件費率がだいたい65%。時給1500円だすとすると逆算すると2308円。家事援助、生活援助、重度訪問、重度包括は無理になっちゃう。身体介護と行動援護しかクリアできない。となると、ヘルパーの事業所はなりたたないだろうね。

ご本人の人権を守る支援と福祉労働者の人権を守ることが相反することは、古くて新しいテーマだったけど、ますます悩ましい話になっているね
posted by 凸凸 at 07:15| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月06日

深化しているのは何か

 介護保険の次回の見直し、平成30年度〜にむけて、平成12(2000)年からスタートしたこの制度そのものの根幹が問われかねない議論が進んでいるといわれている。が、今日、つぶやきたいことはそれではない。

 介護保険が導入されて15年。この2000年から2015年の15年間。介護保険が「あたりまえ」になる歴史の中で、介護やその周辺(医療や福祉など)が、そのことを前提にした社会(社会システムではない)になってきた。

 ここでいう「介護保険を前提にした社会」と私が指すのは、どちらかといえば、社会心理的な「社会」という意味で使っている。「制度をつくるもの(人)」「介護保険制度を活用するもの(会社・利用者・家族)」だけではなく私たちの暮らしの中で、「介護保険ありき」があたりまえになってきているという「こと」である。

 それは、介護保険があるから安心とか、高齢社会を支えるために介護保険が必要という意味ではない。

 私たちのように介護保険以前から、「福祉」=正確に言うとこのことばにも違和感があるのだが=にかかわってきたものにとってみれば、私たちのまわりの風景は激変した。

 介護保険が導入されて以降、その文化は障害者福祉にも児童福祉の分野にも広がってきた。
その方や家族が生活する上で必要なものを「ニーズ」とよび、そのニーズと「サービス」が結びつけられる。「サービス」はメニュー化、普遍化され、「ニーズ」をあてはめていく人が登場する。
 
 この「文化」があたりまえになった。

 そしてあたりまえになることによって、そのことに疑問をもつ人も少なくなった。
 
 ご本人の情報は、「サービス」を提供するために必要な情報に矮小化され、共に生きるための情報ではなくなった。また、逆に支援専門性を発揮できるような情報共有は好まざるものとされた。個人情報の同意書だけが一人歩きし、「サービス」提供の旗印の下に個人情報が行き交う。事業者はよりよい「サービス」を提供するという金字塔を掲げ、[人」を物化してやりとりする。

そして、自由は与えられた自由になり、与えられない自由を求めるものは、その管理から脱出することになり、「ナンミン」ということばを賦与される。

そんな「文化」が深化したのだこの15年は。

posted by 凸凸 at 08:13| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする