2008年08月22日

NPOの行方?

 「NPOが自立する日 行政の下請け化に未来はない」田中弥生著 日本評論社
 を読みました。すでに、NPO関係者からは注目されて、書評や紹介を数多く見かける本です。前から気になっていたのですが、昨年、一昨年はそれどころじゃなかったこともあって、ようやく機会とその気になったという感じです。

著書の中で、
行政の委託事業に頼り、下請け化したNPOの傾向を
@社会的使命よりも雇用の確保、組織の存続目的が上位に位置する。
A自主事業よりも委託事業により多くの時間と人材を投入する。
B委託事業以外に新規事業を開拓しなくなっていく。新たなニーズの発見が減る。
C寄付を集めなくなる。
D資金源を過度に委託事業に求める。
Eボランティアが徐々に疎外されている。あるいは辞めていく。
Fガバナンスが弱い。規律要件が十分に整っておらず、実質的に組織の方向性を定める理事の役割について、あらかじめ組織内の正式合意として共有されていない。また、理事の時間の多くが行政との交渉に投じられるようになり、理事の役割である組織のチェック機能が行政からの委託条件やコンプライアンスを守るための機能になっている

という指摘は、多くの方が評価していて、共感できると引用している部分です。
確かに、このことの指摘と、行政の安上がり委託推進のためにNPOを「つくらされている」現状もまわりで多く散見します。
この傾向は、著者の指摘にもかかわらず、止まっておらず、たとえば、今回の大阪府のPT案や知事の発言にも繰り返し見られています。加えて、NPOの自立を強調することが、市場での営利企業との競争を強いることになる欠点があるにもかかわらず、行政が公的な部分を市場に放り出すことを強いていっています。大阪府では、来年度以降、府の直営の施設だけでなく、府下の市町でおそらくこういった傾向に一層拍車がかかることが予想されます。

 日本でのNPOの分析はよくわかりましたし、勉強にもなりましたが、結論が、「NPOの自立」と透明性の確保やインターミディアリー機能の強調という論調には、目新しさは感じなくて、尻すぼみな感じがしました。
 最近、あまり読まないのですが、NPOの論者たちからの日本の社会の公的な部分のあり方やその構造の議論を、アメリカやイギリス、その他のヨーロッパの社会の公的なものではなく、日本の社会構造を分析することによって論じてほしい気がします。
posted by 凸凸 at 08:04| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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