新聞紙上などで、この時期に毎年取り上げられている各省庁から財務省(政府)に対して行われる国の来年度予算にかかる概算要求が公開されている。全体の予算案が100兆円を超えたという記事が目につく中、関わる予算について、ざっと目をとおす。
ここのところ、「特別枠」というものが、毎年のように看板をかけかえられでてきている。厚生労働省関係の「特別枠」(新しい日本のための優先課題推進枠というらしい)をみていると、「地域生活支援拠点等整備促進モデル事業」というのがあり、目についた。障害者福祉関係者ならご存じだろうが、おおよそ2003年以降の日本の障害者福祉施策を逆回しする可能性のある?高い?施策がいよいよ、はじまろうとしている。
2006年から障害者自立支援法がはじまり、その施策方向性が、介護保険に似せて作られるようになり、当時は介護保険との統合議論が盛んに行われていたことがその背景にあったから、方向性としては、介護保険のようなものになっていくのだろうということは容易に想像できた。そして、2013年からの障害者総合支援法でその方向性ははっきりとでるようになっている。
狭い枠内での議論をすれば、この間行われてきている障害者施策が介護保険に取り入れられているものもあり、また、介護保険の制度への近似性を高めるような施策がどんどんと取り入れられている。
介護保険は3年ごとに改正が行われていて、来春にはここ何回の中では大きな改正が行われる。2006年改正で創設された介護予防が、介護保険事業のコア部分から削られていく。(細かくいえば、そうでないというご指摘がきそうだが、ここでの主題はこれではないので、ざくっといわせていただく)。いわゆる軽度者の切り捨てである。
字面をみると、軽度の人は自分でできることがある人だし、いいのでは?と思われるかもしれないが、どうも巧妙な仕掛けがあるようだ。
ここのところ、私の周りで、介護保険の要介護認定が、とにかく軽く出る事例が相次いでいる。
私たちは介護保険の事業をやっているわけではないので、ほとんどが2号被保険の方になるが、とにかくびっくりするような状況がある。障害程度区分が5の人が要支援ででてきたときには、ひっくり返ってしまった。車いす常用の方である。
上に書いたように、介護保険が軽度の方を切り捨てていけば、その切り捨てる方の人数を増やしていけば、結局は介護保険の対象者が減るわけである。かなり合理的な介護保険制度の財政面からみた保持策ではないか。
介護保険の場合、いわゆる障害が重くなってきて、家族なりの介護力が低いと、入所施設という選択肢が上がる。もちろん、そうでない、そうしたくないという関係者がおられることも重々承知しているが、一般論としてはそうだ。特に私たちのように、いわゆる重い障害のある人たちの地域生活を構築することを目指してきたものにとってみれば、びっくりするほど、簡単に施設入所という選択をされる。もちろん、介護保険の在宅サービスが地域生活を支えるようになっていないという側面があるので、仕方がないともいえるが。
いま、特別養護老人ホームに入所されている方の約88%が要介護3以上。政策誘導として、重度の方は特別養護老人ホームとなってきている。
ここまで、書けば、察しのよい皆さんは、これから介護保険の世界に何が起こっていくことになるのかおわかりいただけるだろう。
介護保険が導入された当時、ドイツの話がそのモデルとして引かれた。州によってばらつきのあるドイツの介護保険制度の中でも、いくつかの州で、いわゆる重度の人しか利用できない実態が紹介されていた。
どんどんと増える日本の高齢者。当然、母数が増えるから、一定の割合で要介護者はでてくるわけだから、当然、要介護高齢者も増える。重い人は公的介護保険で施設中心という色合いが今後強くなっていくのではないだろうか。
今日のエントリーは自虐的であるが、障害者の地域生活支援を行っている諸氏。
この介護保険の状況をして、いま、制度的に同じような障害者総合支援法がみせていく風景は、想像に難くないであろう。なによりも、いま、障害者福祉関係者は、地域で支えられない!地域で支えられない!現状に日々接しているのではないだろうか?
団塊の世代が一通り亡くなった後、このたくさんできてしまった特別養護老人ホームに、障害者が入居させられていく風景を想像できてしまうのは、私だけではあるまい。
2014年09月06日
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