2008年01月11日

市場の中で企業と競争しないNPO

 市場の中で企業と競争しないNPOという表現がわかりにくいのだろうか。
 NPOの在り方として、いろいろな考え方があるわけで、その一つの確認作業的な意味合いだったんだけれど、考えてみると、切り方によって2つの意味にとれますよね

 市場の中で、企業と競争しないNPO
 市場の中で(の)企業と、競争しないNPO

 あくまでも個人的な印象ですが、日本で本格的にNPOが「表舞台」で議論されるようになって約10年。そのほとんどの議論は「市場の中で企業と競合しない」という意味の競争しないNPOの議論ばかりだったような気がします。
 その議論は「市場社会」ありきであり、競争しないとはいいながら、同じ土俵中で戦っている感じがあります。それは価値観の戦いではなく、「市場」的戦いです。
 昨年のコムスンの不祥事後、事業の引き継ぎ先が決まった後、ある新聞のコラムで、第三者委員の会長がさわやか財団の堀田力さんだったことして、日本の介護NPOの力のなさを嘆く記事があった。ものすごい不快感を感じたことを覚えている。
 確かに介護保険や障害者自立支援法の中でのいわゆる在宅サービスは、営利企業にも規制緩和されたと同時に、非営利企業=NPOにも規制緩和された。その土俵の中では、社会福祉法人も営利企業もNPO法人も同じ「事業所」である。
 うちもそうであるが、正直このプレッシャー(圧力)はすごい。仮に、ここで「市場社会の営利企業の理屈でない」ことを、NPO的であるといおう。しかし、この業界の理屈で言うと、(社会福祉法人は税制の優遇があり、これまでの歴史上多くの補助金をうけてきているため、適正な競争相手とはいえないようだが、)NPO的であろうとしても、もうすでに環境はそれを許していない。税務署にいけば、一人前以上の扱いであり、行政の事務的指定も、企業となんら変わりない。企業のNPOの扱いも、まったく企業と変わらない。「事業所」である。もちろん、NPO法人が、それらの指定事業以外の事業をNPO的に運営して行くことはあるだろうが、その理念に基づいた事業を一体的にを運営して行くことはかなり難しくなっていると聞く。NPO的であることは難しいのである。もちろん、創立者やその周辺の人たちはNPO的であることを守ろうとするだろうが、賛同者を得ることは難しくなってきているように思う。
 つまり、社会的装置としてのNPOは、その存在自体を社会的に決められようとしているように思うのだ。
 いまから、10年以上、日本にNPOの概念が入ってきはじめた時に、関係者たちは、こぞってアメリカ型のNPOを指向した。そこでのNPOの議論は(本来アメリカのNPOはそうでないらしいが)、営利性と非営利性を「株主への還元」と「本来事業への還元」という一点にのみ整理をし、NPOにも経営することを求めた。NPO法ができ、NPO法人ができたときに、一層はっきりと経営運営が必要となり、NPOの中間支援組織は、ミッションや社会的役割、公益性の議論よりも、経営論だった。つまり、そうしてNPOは、市場社会のシステムに組み入れられ、その事業が営利企業と競合しようがしまいが、競争させられるようになってしまった。
 いったん、このような日本的NPOのうさんくささに気づいた生協やワーカーズコレクティブなどの、消費や労働の形態を問い直す目的の団体も気づいたら、けっこうみんなNPOだ。彼らは意識して、企業との競争の市場社会外でやり続けているのだろうか?
 本質的な議論をしたときに、日本が資本主義下で市場社会であるかぎり、そこから完全に自由であることはありえないのだろう。そのことは理解している。
 しかし、その市場社会の論理に染まってしまわない活動のありようを、NPOそのものが提起できているのだろうか。また、給料が安いとか、ボランティアで運営ででているとかいう一見NPO的であるという「誤解」を払拭していくことはできないのだろうか。給料が安いという議論をする限り、市場社会の中での議論をしているというのは、厳密的過ぎるだろうか。経済的等価性を自分自身で決めて、給料を決めていくようなやり方はできないのだろうか。そこに捕らわれている限り、市場社会で企業と競争しないNPOの議論ができない気がして仕方がない。組織的共同性や仕組み、そして収入を得ていく事業の問題。たくさん問題はあるだろう。でも、そこをつきつめていき、それが世帯の中で、他に収入を得る人がいなくても、「豊かな」生活ができるそれだけの「収入」を得ることのできるNPOの存立。
 それはでき得るのであろうか。
posted by 凸凸 at 08:20| 大阪 曇り| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
営利法人であっても…社福法人であっても、またNPO法人であったとしても、、その「法人」ってものをpackageとして捉えると、何をどう言ったって企業的になってしまう。。
そこに居る「人」ってものをそう捉えて、動かしていく…動いていく…ものだから「NPO」なんだ、、と考えてはいますが…zzzzz。。

はき違えてるかも知れませんが…
議論がズレてるかも知れませんが…
自分でも何言ってるかわかりませんが…
何とな〜く、最近そー思います。。
Posted by Y at 2008年01月12日 16:36
 >そこに居る「人」ってものをそう捉えて、動かしていく…動いていく…ものだから「NPO」なんだ、、と考えてはいますが…

そうですよね。
それはそのとおりだとおもいます。

 でも、組織でないことをしてNPOっていっちゃうと、自分たちが何をしているかわからなくなりそうでもあって。。。
Posted by とみた at 2008年01月13日 12:03
何だか難しいですね。。
「NPO」ってことを逆手(?)にとったり、
「ボランティア」って意味をはき違えて、
足元見られることが最近続いてて。。
どうでもいいんですが、そんなの。。

正直、タップでも踏んでやろうかって気分なんですが、、

自分たちがフラつかずに立っていればいいんですもんね。
…それが難しいんですが。。zzzzz
Posted by at 2008年01月13日 12:38
 そろそろ、日本のNPOが、本業とは別に金融貸付部門を持つ時代に来ているんじゃないかと僕は思っています。それによって企業と競争しない独自路線をもった活動ができるのではないでしょうか。
 もちろん、本業をまわすことで精一杯のNPOが多いということは承知です。でもこれまでのようにクッキー作ったりTシャツを作って販売する日本の社会福祉の寄付文化にはそろそろ終焉を迎える時代が到来しているのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
Posted by ariboh at 2008年01月16日 02:10
返信遅くなりました。すみません。

と言っても、ここに書けるようなコメントは持ち合わせていないのですが。

今回の記事で何となく分かりました。
そうだよね。と思います。
でもNPOは、福祉だけではないので、他の分野にも当てはまることなのかな。とは思いました。
Posted by はるた at 2008年01月28日 17:03
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